呼吸する家

 「呼吸する家」について、語ってみたいと思います。

 住宅には、生命の営みと同じ呼吸をして状態を維持しているものがあります。

 近頃の住宅は、どちらかというとこの呼吸の部分が掛けているようです。その中で山形住宅を施工するある工務店では、呼吸することにこだわった住宅づくりをおこなっていると聞きました。

 住宅の呼吸とはどういうことなのかですが、これは住宅に使われている建材の中に答えが隠されています。

 古い時代には今のように人的に化合して作った合成品というものは、存在しませんでした。組み合わせて利用されるのは、すべて自然界にもともと存在しているものたちです。

 ここでいう自然素材というもので代表的なものに木材があります。在来工法で作る日本家屋は、木材が家の骨組みとして使用されます。柱・梁・棟が三位一体となり、建物を支える大切な役割を果たします。

 いまでこそ、断熱材の使用は必須となりましたが、昔にはそのような便利なものはありませんでした。壁には、土や漆喰、珪藻土などが利用されました。屋根瓦の固定に漆喰が用いられていました。また屋根瓦は粘土を高温で焼いたものになります。

 これらの自然素材が、昔の住宅づくりに使用されてきた建材たちです。最近の建材のように豊富なデザインや色調、風合いはありません。どちらかといえば質素なものたちです。

 しかし、すべてが組み合わさって住宅として仕上がった際の風格は、最新の住宅にはない存在感があります。

 そしてなにより、これらの素材は呼吸をしているのです。湿度により木材は膨らんだり縮んだりします。時折、軋み音を立てるのは呼吸している、生きている何よりの証拠なのです。珪藻土や漆喰は、水蒸気を吸ったりはいたりすることで、室内の湿度を一定に保とうとします。

 人的操作を加えなくても、自然とそうしたことをおこなってくれる優しい素材を使ったものが「呼吸する家」というわけです。